保育料無償化に伴う給食費の有料化に反対します
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保育料無償化に伴う給食費の有料化に反対します
政府は2019年10月に始まる幼児教育・保育の無償化(消費税を財源とします)で、無償だった給食費(食材料費)を有償にしようとしています。
政府が実費徴収の理由として、幼稚園は実費徴収している一方で、保育所は0~2歳は無料で、3~5歳は副食費は無料というのは、不公平だというのです。
給食費の実費徴収化の提案は保育所における給食の今日的な意義を踏まえないものです。新しい「保育所保育指針」にも、「保育所における食育は、健康な生活の基本としての『食を営む力』の育成に向け、その基礎を培うことを目標とする」として、保育における食育の重要性が述べられています。また、アレルギーへのきめ細かい対応も含め、給食が保育の一環であることは明らかです。
政府は給食の重要性を認める一方で、給食と食材料費を切り離し、保護者に実費徴収を求めています。給食費の実費負担は所得の再分配の原則を切り崩し、とりわけ低所得家庭に負担増を強いるものです。
国の定める子ども一人当たりの給食費は主食費が月3000円と副食費が月4500円です。
全ての年齢で国の基準が適用されると、子ども一人に月7500円の費用がかかります。二人なら15000円の給食費がかかることになり、保育料よりも高額な費用負担がかかってしまう家庭もでてくるかもしれません。
家庭によってはお弁当持参を希望したり、長期休みの時など給食を食べていないのに給食費を支払うのかなどのやりとりもでてくるかもしれません。
また、実費徴収になれば、定員規模にもよりますが、年間1千万円にもなる、給食費を保護者から徴収することになります。延長保育料等の計算や徴収で様々なやりとりが発生しているなかで、給食費の徴収が加われば、園の事務業務が大変な状態になるのは目に見えています。
実費徴収の原則は「単価×利用回数」です。保育園は児童ごとに利用回数を正確に把握し、保護者に請求しなければなりません。記録に食い違いがあれば保護者との関係もぎこちなくなり、給食の発注にも影響が出てきます。
その結果、子どもの成長を見据えた保護者と園との共育てが困難な状況に陥ることも考えられます。
保育所の給食は子どもの成長や園での生活・活動を支える大事な“保育の行為”です。
社会福祉法人多摩福祉会は保育・福祉の原則を踏みにじり、子育て世代に負担増を強いる食材料費の実費徴収に反対します。
社会福祉法人多摩福祉会 理事長 垣内 国光
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